同軸ケーブルの選定の手引き

同軸ケーブルの選定には、ケーブルの性能と使用用途をよく理解しておく必要があります。本手引きでは、お客様が最適な同軸ケーブルを選んでいただけるように、考慮せねばならない同軸ケーブルの特性について詳細に説明します。アンフェノールは、あらゆる同軸ケーブルメーカのなかでも、もっとも幅広い製品ラインアップと卓越した設計、製造能力を有しておりますので、同軸ケーブルの選定でお困りの際は、お気軽にお問合せください。

A. 特性インピーダンス

特性インピーダンスは中心導体外径と外部導体内径の比、および絶縁体の比誘電率で決まります。ケーブル内のRF信号は導体の表面を進むので、重要なのは中心導体の外径と外部導体の内径です。システムの要件に一致するインピーダンスを選定することが重要です。

一般的なインピーダンスは50Ω、75Ω、95Ωです。その他に35Ωから185Ωまでのインピーダンスを使用する場合もあります。50Ωはマイクロ波とワイヤレス通信に使用されます。75Ωは一般的に映像信号と音声信号の伝送用途に使用されます。95Ωは一般的に高周波機器の内部配線,給電線、高速信号の伝送用途で使用されます。

システムの性能を最大限引き出すためには、システム内の他のコンポーネントのインピーダンスに適合するケーブルを選定しなければなりません。最も一般的に使用される同軸ケーブルの中でも、75Ωインピーダンスは減衰量が最低となり、35Ωインピーダンスはパワー処理が最高となります。理想的でない絶縁体と導体を持つ実用ケーブルでは、これらの差は小さくなります。適切な特性インピーダンスを持つコンポーネントとケーブルの入手性が、システムのインピーダンスを決定する際に重要な要因となることがあります。

B. VSWR及びインピーダンス均一性

同軸ケーブルにRF信号を入力すると次の現象が起こります。

  1. RF信号がケーブルのもう片端から出力される。
  2. 信号パワーは、ケーブルの長さに従い、導体抵抗により熱に変換されるか(熱損失)又は電波漏洩のどちらかによって失われます。
  3. 反射してケーブルの入力端に戻る。

反射はケーブルアセンブリのインピーダンスのばらつきによって起こります。これにはケーブルとケーブルに接続されているコネクタのインピーダンスのばらつきも含まれます。一般的には、コネクタと、コネクタ・ケーブル間のインタフェースが反射の主要な原因となります。ケーブル自体も反射の原因となりえます。ケーブル反射の1つの原因は製造過程から生じるインピーダンスの周期的変動で、わずかなインピーダンス変動が特定周波数で重ね合わされて大きな反射となります。これは、広域な周波帯域にてスパイクとして現れます。このスパイクの例を図1に示します。反射の大きさはいくつかの方法で表せます。最もなじみがあるのはVSWR、つまり電圧定在波比です。VSWRが1.0:1もしくは1.0は、反射がないこと又は理想的なケーブルであることを表します。また、反射は反射減衰量、つまり入力電力に対する反射電力の割合であり、通常はデシベル(dB)で表現されます。これら3つの全てについて同等値を示したものが表1です。

図1 VSWR対周波数
VSWR対周波数
表1 VSWR変換表
VSWR変換表

反射電力がないこと(又は低VSWR)はケーブル、コネクタ、及びケーブルアセンブリなどの同軸コンポーネントの性能指数としてしばしば利用されます。これはケーブルの均一性が長さ方向に適切に保たれているか、コネクタが正しく設計され接続されているか、ケーブルとコネクタの接続部が適切に補正されているかを示します。これは一般的に周波数の関数で、周波数が上がれば反射も大きくなります。

多くのアプリケーションにおいて、反射電力が小さいことはシステムの性能に非常に重要です。ケーブルとコネクタの選定においては、反射電力を最少にすることを考慮せねばなりません。それに加えて、適切な特性を得るために、ケーブルとコネクタを正しく接続することに注意しなければなりません。VSWRが重要となるアプリケーションで使用する場合は、弊社工場で組立て、検査したケーブルアセンブリ完成品を購入することをお勧めします。

特定の周波数における実際の入力インピーダンスは、ケーブル中の反射のためにケーブルの特性インピーダンスとはかなり異なる可能性があることに注意してください。特定のケーブル長における電圧定在波比(VSWR)は、当該ケーブルの実際の入力インピーダンスと、そのケーブルの平均特性インピーダンスの差を示します。

長いケーブルのインピーダンスはそのケーブルの動作温度範囲において2%未満と、非常に小さな誤差を示します。

インピーダンスマッチングを目的として、特性インピーダンスがケーブル長全体にわたり変化するケーブルを設計することは可能です。このように、同軸ケーブルは異なるソースインピーダンスと負荷インピーダンスをマッチさせる広帯域インピーダンス変圧器として使用することができます。変圧器としてのケーブルは、ケーブル長と最低動作周波数に関連し、特定のアプリケーションのために設計されます。

C. 減衰

減衰とはケーブルの長さに沿った信号の損失です。RF信号がケーブルを通過すると、信号の一部は熱に変換され、別の一部は外部導体を通ってケーブル外に漏出します。この信号の減衰は、周波数が上がるほど減衰量も増加し、通常特定の周波数における長さの単位当たりのデシベル数で表されます。

多くのアプリケーションにおいては、ケーブル損失を最小化すること、または予め決めた損失内に留めることを目的としています。最小の損失は0 dBの減衰、又は入出力の比率が1対1である減衰に相当します。ケーブル損失は、ケーブルの構造が同じ場合にはその直径が太くなると減少するため、ケーブル損失の最小化はケーブルサイズの最大化を意味します。

減衰量はケーブルの導体損失と誘電損失により決まります。太いケーブルでは導体損失は低くなり、減衰量も減少します。誘電損失はサイズには依存しません。誘電損失は周波数に比例して増加しますが、導体損失は周波数の平方根に比例して増加します。そのため周波数が高くなると、誘電損失がケーブル損失全体に占める割合が高くなります。

減衰量は周囲温度に対する補正率で修正する必要があります(図2参照)。周囲温度が上がると、導体抵抗が大きくなること、また絶縁体の力率が増加することによりケーブルの減衰量が増加します。(補正率については図6参照)。

特定の用途に対してケーブル構造を選定し、システム要件から最高周波数における望ましい減衰量を決定します。望ましい減衰量を温度補正率で割って補正減衰量を決定します。表から補正減衰値に合致する最小のケーブルを選びます。ケーブルサイズに対して減衰量が比較的小さなアンフェノール製ケーブルについては、LMR、StripFlex、SFT及びCLL シリーズを参照ください。

図2 減衰量温度補正率
減衰量温度補正率

減衰の均一性
どのケーブルの減衰量も周波数の変化につれて均一に変わるとは限りません。ランダムで周期的なインピーダンス変動により、ランダムかつ周期的な減衰応答を引き起こします。図3に示されているような狭帯域減衰のスパイクが起こりえます。もしご要望があれば、お客様が要求する周波数範囲で公称値から最大減衰量変化が特定されるように長さを調整して、ケーブルをお届けすることもできます。

図3 減衰量対周波数
減衰量対周波数
図4 減衰対屈曲
減衰対屈曲

減衰の安定性
編組ケーブルの減衰量は時間とたわみにより増加することがあります。経時変化は編組シールドの腐食、ジャケット可塑剤による一次絶縁体の汚染、またジャケットを通して浸透する水分により起こる可能性があります。これらの影響は、LMRケーブルのDB シリーズで行われているように、適切なコンパウンドで編組を密閉することにより実質的に解消できます。

(蒸気の浸透は全てのプラスチックとエラストマ材料において異なる割合で起こります)。減衰量の悪化は1 GHzを超えるとより顕著になります。ベア銅と錫メッキ銅編組ケーブルは銀メッキのものに比べて減衰量の悪化が顕著です。これらの効果は図5に示しています。

以下のガイドラインが適用されます。

a. 錫メッキ編組:1 GHz未満では、錫メッキ編組付きで製造されたケーブルはベア銅編組より「製造時」の状態では減衰量は15~20%増加しますが、ベア銅編組ケーブルよりも安定しています。
b. 発泡ポリエチレン:発泡ポリエチレン絶縁体を持つフレキシブル編組ケーブルは、コアサイズとインピーダンスが同じソリッドポリエチレンケーブルより約15~40%減衰量が小さくなりますが、発泡ポリエチレンは水分を吸収するため、減衰量の増加を招きます。LMRケーブルはクローズドセル非吸湿性フォーム構造なので、この問題はありません。
c. PVCジャケットが使用される場合には、経時的に均一な減衰が重要な用途では、タイプIIA非汚染性PVCをお勧めします。タイプI PVCは時間が経つと絶縁体に浸出することのある可塑剤を含んでおり、減衰量の増加を引き起こします。
d. 究極の減衰安定性は密閉ケーブルアセンブリを指定することにより実現できます。これらはいかなる種類の汚染物質のケーブル内への侵入も不可能にし、MilTechアセンブリのように最高の安定性をもたらします。この種類のアセンブリに関する詳細は弊社までお問合せください。

厳しい環境条件下で使用するフレキシブルケーブルについては、保護編組ケーブルを推奨します。

図5 減衰安定性
減衰安定性

D. 電力容量

同軸ケーブルの損失は絶縁体コア部分のみならず、中心導体及び外部導体の発熱をもたらします。ケーブルの電力定格とこの熱を分散させるケーブルの能力は関連があります。ケーブルの電力定格はケーブルに使用されている材料、特に絶縁体の最大許容動作温度に依存します。これはほとんどの熱がケーブルの中心導体で発生するためです。一般的に、特定のケーブルの電力定格は、そのケーブルの減衰量と反比例し、サイズと直接関連します。その他の要因はケーブル、特に絶縁体の伝熱性です。

ケーブルの電力定格は周囲温度、高度、特定用途で見られるVSWRに対して補正率で下げる必要があります。高い周囲温度と高度はケーブルからの伝熱を妨げることにより、ケーブルの電力定格を下げます。VSWRはケーブル内に局部的なホットスポットを発生させることにより、電力定格を下げます。

特定の要件に合わせたケーブル構造を選定するには、システム要件から最も高い周波数における平均入力電力を決定します。次に、以下の式から効果的な平均入力電力を決定します。

有効電力

温度及び高度補正は図6と7に示す通りです。

VSWR補正率

ここでkは図8に示されています。この有効電力レベルに合ったケーブルを減衰及び電力チャートから選定します。

ここで留意すべき点は、ケーブルのピークパワー処理能力が最大動作電圧定格と関連していることです。次のセクションEを参照ください。

図6 電力・温度補正率
電力・温度補正率
図7 出力・高度補正率
出力・高度補正率
図8 第二 VSWR 補正率乗数 K
第二 VSWR補正率乗数 K

E. 動作電圧

ケーブルにかかる平流電圧(及びピーク電圧はパルス電力状態に関連している)は確実にその最大電圧定格より低く保つよう注意する必要があります。ケーブルには、コロナ電圧と耐電圧という2つの別々の定格電圧があることに注意してください。

1. コロナはイオン化現象に関連する電圧で、ノイズの発生、長期的な絶縁体の損傷、最終的なケーブル破損を招きます。従って、ケーブルは継続的にコロナが発生している状態で使用することはできないので、最大動作電圧はケーブルのコロナの消滅レベル(消滅電圧)未満でなければなりません。コロナ電圧の測定には、電圧により生じるイオン化ノイズの発生を検出することのできる高感度な機器が必要です。

2. ケーブルの耐電圧(DWV)、又は絶縁耐力はケーブルに使用されている絶縁体に突然の破壊をもたらすのに必要な電圧レベルの大きさです。DWVテストはそれほど高感度な機器を必要とせず、限られた時間だけケーブルにかかる電圧を測定するテストで、電流フローを監視します。

各構造におけるケーブルの最大交流動作電圧 (RMS) レベル、又はピーク電圧は、別カタログのケーブルデータセクションに記載しています。最大許容直流電圧レベルは控えめにみて、交流レベルの3倍です。

特定用途のケーブルを選定するために、実際のRMS(ピーク÷1.4)を以下のように計算します。

RMS電圧

あるいは、システム要件から、実際のピーク電圧=(RMS x 1.4)で求めます。次に、実際の入力電圧にVSWRの平方根をかけて実効入力電圧を求めます。

実効電圧

それから実効RMS電圧より大きな最大動作電圧のケーブルを選定します。最大動作電圧はケーブルデータセクションに記載しています。

ケーブルが使用される場所の高度が上がると、ケーブルアセンブリの最大動作電圧は終端エリアの低圧の空気の絶縁耐力の減少により低下します。

F. シールド効果

1. 同軸ケーブルのシールド効率はその外部導体の構造に依存します。最も一般的な構造は、

一重編組: 錫メッキ、又は銀メッキのベアなラウンド銅ワイヤから成る(カバー率70~95%)
二重編組: 上記の一重編組2本から成り、その間に絶縁層はありません。
三軸: 上記の2本の一重編組とその間の絶縁層から成る
ストリップ編組: ラウンドワイヤではなくフラットな銅のストリップワイヤから成る (カバー率90%)
ストリップ外部導体/スパイラルフラットストリップ: カバー率100%
ソリッドシース: アルミ又は銅管から成り、カバー率100%

2. これらの構造の相対的なシールド効果は、10 MHzから8 GHzまでの周波数について図9でグラフに示しています。このグラフは各構造の1フィートのサンプルの外部シールドから漏出する信号のレベルを示しています。フレキシブルケーブル、つまり三軸編組、二重編組、および一重編組構造の性能を示す曲線は、測定データに基づくものです。

ケーブル長1100フィート以下の総漏れ量を見積もるには、グラフから読み取った数字に20 log Lを加えます(ここでLはフィート単位のケーブル長です)。一般的なセミリジットケーブルの性能を示す曲線は理論に基づくものですが、実際の場合セミリジットケーブルを使用した時のシールド効果はコネクタ部の漏れにより制限されます。

3. 2本の同軸ケーブル配線間のアイソレーション(又はクロストーク)は2本のケーブルのアイソレーション係数と配線間の「結合係数」によるアイソレーションの合計によって表せます。この結合係数はケーブル配線の相対的な間隔、ポジショニング、及び環境と使用される接地方法によって変わり、結合係数は、実質的にケーブル配線間のアイソレーションに影響を与えます。

4. 長さ20フィートの2本の一重編組同軸ケーブル間のクロストーク(1~30 MHz)測定結果はケーブル内部の信号レベルから約80 dB低いことが示されました。測定は、20フィートの同軸ケーブルを横に並べて行いました(このテストデータは上記に記載した結合係数の影響を説明しています。)

5.高いシールド特性を持つ特殊な構造の同軸ケーブルとして、LMR、RD及びRDT シリーズやStripFlex、SFT及びTFlex シリーズをご用意しています。

図9 遮へい効果
遮へい効果

G. 静電容量

ケーブルの静電容量は絶縁材料と特性インピーダンスに関係します。幾つかの一般的な同軸ケーブルの標準的な静電容量値を、別表のGeneral Electrical Properties(一般的な電気的性質) に記載しています。
表に示された通り、ケーブルのインピーダンスが高くなると「1フィートあたりの静電容量」値は下がり、データ通信用途において負荷が小さくなる結果となります。

H. 波長短縮率

同軸ケーブルの波長短縮率は主に内部・外部導体間の絶縁材質の比誘電率で決まります。この性質は通常自由空間における光の速さのパーセンテージで表され、一般的にはVgやVpで記載されます。
別表の一般的な電気的性質には、波長短縮率と一般的に使用される絶縁体で絶縁されたケーブルの時間遅延を示しています。
同軸ケーブルから作られるディレイラインは低い波長短縮率のケーブルが使用され、最短で最大の遅延が得られます。しかしながら、低速と高速ケーブルの損失差も考慮しなければなりません。

I. 電気長の安定性

アンテナ給電システムのようなアプリケーションには、特定の電気長に調整したケーブルアセンブリが必要かもしれません。これらの用途では、温度、たわみ、張力やその他の環境要因によるケーブルの電気長の変化が非常に重要です。標準的なフレキシブルケーブルの電気長の温度による変化が図10に示されています。

ポリエチレン絶縁ケーブル: -100~-250 PPM/℃
TFE絶縁ケーブル: -50~-100 PPM/℃

標準的な発泡誘電セミリジットケーブルの温度による電気長変動は-20~-30 PPM/℃です。
弊社は電気長対温度特性を改善した設計の特殊なフレキシブルおよびセミリジットケーブルを提供できます。温度により変化する電気長が5 PPM/℃まで低いセミリジットケーブルも可能です。SFTとCoppersol Low Loss CLL シリーズを参照ください。

図10 位相安定性
位相安定性

J. カットオフ周波数

同軸ケーブルのカットオフ周波数とは、TEMモード以外のエネルギー伝送モードが発生する周波数です。TEMモードが弱まることを意味するものではありません。この周波数は導体の直径の平均値とケーブルの波長短縮率の関数です。より高いモードはインピーダンス不連続においてのみ発生し、多くの場合、ケーブルは大きなVSWR又は挿入損失の増加なしにカットオフ周波数を超える周波数での使用が可能です。しかしながら、ケーブルはカットオフ周波数を超えて使用されないようお勧めします。

K. パルス応答特性

1. ケーブルのタイムドメイン応答をパルスやステップ関数で分析する際に、以下の特性を考慮しなければなりません。

a: インピーダンスと反射
b: 立ち上がり時間
c: 振幅
d: オーバーシュート又はプレシュート
e: パルスエコー

a. インピーダンスと反射

  1. システム要件に合わせてインピーダンスを選定します。
  2. インピーダンスはケーブル長に沿って変化します。+5%の変化は珍しいものではありません。
    ケーブルは2%の許容誤差で生産することができます。それより強い許容誤差はお勧めしません。

b. 立ち上がり時間とc. 振幅

  1. 出力立ち上がり時間は入力立ち上がり時間とパルス幅、及びケーブル減衰量の関数です。標準的なパルス応答を図11と12に、標準的なステップ応答を図13に示しています。ケーブルの温度が上がると立ち上がり時間は早くなり振幅は減少します。

d. オーバーシュート又はプレシュート

  1. 図13は反射のためにケーブル内で0.1 nsの立ち上がり時間で起こりうるオーバーシュートを示しています。このようなオーバーシュートは長手方向への押出法による絶縁体ケーブルには珍しいものではありません。
  2. プレシュートは平衡型ディレイラインで起こる可能性があり、ケーブル設計によって最小化可能です
図11 パルスのゆがみ
パルスのゆがみ
図12 パルス振幅対ケーブル長
パルス振幅対ケーブル長
図13 ステップ応答 (出力振幅対時間)
ステップ応答 (出力振幅対時間)

e. パルスエコー

幅の狭いパルスがケーブルに入力されると、上記のゆがみが起こります。それに加えて、最初のパルスが到達した後、小さい電力を持ったパルスが現れることがあります。このパルスエコーはケーブル内の周期的反射により起こります。通常エコーのレベルは無視できる程度です。

L. ケーブルノイズ

ケーブル現象として知られているものに、ケーブルを曲げると音響的で電気的なノイズが発生する現象があります。音響的ノイズはケーブル内の機械的な動きの影響によります。そのようなノイズ(機械力や摩擦力に関連した)は適切なケーブル設計で最小化できます。電気的ノイズの発生は静電効果が原因で起こりますが、テストではRGケーブルで500 ミリボルト以上が計測されています。このノイズ電圧は絶縁体と導体間の摩擦を防止することにより、または半導電層で導体・絶縁体間の帯電を防止することにより最小化できます。低ノイズ構造にするためには、寿命と使用環境条件を考慮しなくてはなりません。弊社は特別な用途の低ノイズケーブルを製造しています。

M. 動作温度範囲

  1. フレキシブル同軸ケーブルの動作温度範囲は主に絶縁体とジャケット材料の動作温度範囲により決まります。80℃以上での長期使用に適しているのは銀メッキ導体のみであることに留意ください
  2. 最も一般的に使用される絶縁体とジャケットタイプの動作温度の限度は以下に示す通りです。
材料 温度範囲
リテトラフルオロエチレン (PTFE) -75°C  ~ +250°C
ポリエチレン -40°C  ~ +85°C
発泡ポリエチレン -40°C  ~ +100°C
発泡またはソリッドエチレン・プロピレンジャケット -40°C  ~ +105°C
フッ素化エチレン・プロピレン (FEP) -70°C  ~ +200°C
ポリ塩化ビニル (PVC) -50°C  ~ +85°C
エチレンクロロトリフルオロエチレン (ECTFE) -65°C  ~ +150°C
ポリウレタン -100°C  ~ +125°C
パーフルオロアルコキシ (PFA) -65°C  ~ +260°C
ナイロン -60°C  ~ +120°C
エチレン・プロピレン -40°C  ~ +105°C
高分子量ポリエチレン -55°C  ~ +85°C
架橋ポリオレフィン -40°C  ~ +85°C
シリコンゴム -70°C  ~ +200°C
シリコーン含浸グラスファイバー -70°C  ~ +250°C
高温ナイロン繊維 -100°C  ~ +250°C

N. 屈曲性

中心導体に撚線を使用した編組外部導体を持つ同軸ケーブルは、使用中にケーブルが繰り返し曲げられる用途に向いています。中心導体が撚線のケーブルは単線のケーブルに比べてより高い減衰を示します。一般的に、撚線の数が多いほど柔軟性は高まり、減衰量も高まります。

標準的な編組外部導体構造はケーブルの直径の20倍の半径で180度まで1000回以上の曲げに耐えます。フレキシブルケーブルは通常ケーブル直径の10倍以上の中心半径のリールに巻いて保管され、出荷されます。もしフレキシブルケーブルを固定し曲げた形状で設置する場合には、推奨最小曲げ半径はケーブル直径の5倍です。それより大きな曲げも可能です。より優れた屈曲特性を持つ特殊な編組設計を提供できます。

一般的にセミフレキシブルもしくはセミリジッドケーブルと呼ばれるアルミニウム又は銅管を外部導体に用いた同軸ケーブルは、ケーブル直径の20倍の曲げ半径での180度の曲げには10回以上は耐えられません。セミリジットケーブルは通常ケーブルの外径の20倍の中心半径のリールで出荷されます。セミリジットケーブルは現場で設置のために曲げることができます。推奨最小曲げ半径はケーブル外径の10倍です。ケーブルの外径の5倍の曲げ半径で曲げたケーブルでは機械的・電気的劣化が発生するかもしれません。

O. 耐環境性

同軸ケーブルの寿命は多くの要因で変化します。使用されている材料の紫外線露光、高湿度、ガルバニック作用、塩水や腐食性蒸気の影響がケーブル破損の主な原因です。耐火性も検討が必要です。以下のガイドラインがあてはまります。

a. 日光:日光(紫外線)に晒される低温ケーブルの寿命を最大にするために、特定のカーボンブラック粒子サイズ、重量による割合、粒子分布を含んだ高分子量ポリエチレンの使用を推奨します。ポリ塩化ビニルの寿命は適切に合成したポリエチレンの寿命の半分以下です。

b. 湿気や水蒸気:湿気や水蒸気はジャケットのピンホールを通って、コネクタから、あるいはジャケットからの透湿によりフレキシブルケーブルに侵入します。全ての材料は少なからず透湿率を示します。例えば、ポリマー製外装ジャケット付き10フィートのケーブルのヘリウム漏えい率は約10-4 cc/sec/ftです。最も浸透性の低いFEPのようなサーモプラスチックでさえ、漏えい率に大きな変化はありません。空中用途では、透湿率と寒暖差の組み合わせでケーブル内に結露を生じます。水分は低い個所にたまりコネクタの腐食やショートを起こします。ケーブル内の水分の蓄積を防ぐ1つの方法として、経年硬化しない防湿化合物で全ての隙間を埋める方法があります。詳細はLMR-DBとImperveonケーブルを参照ください。弊社は漏えい率10-5 cc/sec/ft以下の密閉ケーブルアセンブリも提供しています。

c. 塩水浸漬:ケーブルの電気的諸特性は導体が塩水に晒されると急速に影響を受けます。ジャケットに浸漬テストを実施していない場合、1000フィート当りに1つのピンホールが存在する可能性があります。十分なテストが実施できても、敷設中の損傷、またはねずみ等の動物による被害が通常漏えいを招きます。この場合、要求される深さまでの圧力に耐える、ノンホーシングケーブルを推奨します。

d. 腐食性蒸気:錫及び銀メッキを使用すると腐食性蒸気に対する保護作用がある程度働きます。しかしながら、そのような保護作用は長持ちしません。塩水、あるいはケミカルプラントの近くでの敷設にはLMR-DBもしくはImperveonといった充填ケーブルを推奨します。

e. 地中埋設とガルバニック作用:ケーブルメタルと接触する地中の湿気はどのようなメタルにも急速な腐食をもたらします。アルミニウム製の外部導体はほぼ90日で破壊されます。そのため、地中に埋設するケーブルはピンホールのないジャケットが必要になります。埋設技術やねずみ等の動物によりジャケットの損傷が起こりうるので、コンパウンドを充填したケーブルが使用されます。動物のかじり対策には、オーバージャケット付きのスチールテープアーマーを推奨します。

f. 耐火性:ケーブルはジャケットと絶縁体の材料によりそれぞれ程度の異なる耐火性を持っています。「難燃」ケーブルは火の燃え広がり(伝播)を限定します。PVCジャケットは、選定したコンパウンドによりある程度の難燃性を提供します。
難燃ジャケットは実際には火の中では燃えてしまいますが、火が除去されるとジャケットは自己消火します。PVCジャケットは燃えている物質を滴下することはありませんが、もし絶縁体がポリエチレン製であれば、絶縁体は火のついた物質を滴下することがあります。PTFEとFEPは滴下、あるいは燃焼することはありません。優れた防火性を提供するために弊社は低煙/低毒性ケーブルシリーズを取り揃えています。これらのケーブルは、ハロゲンフリー低煙/低毒性に優れた弊社独自のコンパウンドを使用しています。LSSB/LLSB、LMR-FR及びMIL-C-17規格ケーブルの製品シリーズを参照ください。

P. ケーブル強度

ケーブルの破壊強度は主に外部導体の強度によります。ケーブルは、もし中心導体が切れる前に10%まで伸びるなら、少なくとも外部導体の破壊強度の70%まで耐えられます。たった1~10%の伸びで切れてしまう銅覆鋼もしくは合金製中心導体のケーブルでは注意が必要です。26 AWG未満の導体サイズはアセンブリ作業中に簡単に切れる可能性があります。張力110,000psiと伸長10%を備えた特別な合金導体を提供しています。

Q. 認定規格

ケーブルは特定の用途で使用できるように、一定基準を満たすことが要求される場合があります。以下に、典型的な認定規格を示します。

MIL規格:
ほとんどの軍用用途ではケーブルが特定の仕様を満たしていることが要求されます。これらの仕様では、製品を認定するために、立会人として軍の代表者が参加しケーブルに対して一連のテストを実施することをメーカーに要求します。ほとんどの同軸ケーブルの基本的な仕様であるMIL-C-17規格では、認定製品リスト (QPL) が要求されます。弊社は多数のMIL-C-17規格適合ケーブルを保有しています。
UL認証:
多くの都市の建築規制はその建築物内部に敷設されるケーブルがアンダーライターズ・ラボラトリーズ (UL) 認定を受けることを要求しています。ULのサービスでは、ケーブルは明確に定義された一連のテストと検査を受け、ULの品質と安全基準を満たしてきました。UL基準に適合した新設計では、承認は通常比較的短期間で得ることができます。多種多様な弊社製品がUL認定を受けています。
ニューヨーク州の要件:
ニューヨーク州Uniform Fire Prevention and Building Codeの第15条パート1120は特定の建築物と交通システムに使用される材料についてThe New York Department of Stateでテスト・登録することを要求しています。テストされた弊社製品についてはDOSファイル番号16120-931203-4001で、火災/ガス/毒性データを参照できます。
ロンドン地下鉄 (LUL):
弊社は一連の低煙ケーブル構造でLUL承認を受けています。これらのケーブルは火災安全のためのロンドン地下鉄実務規範の要件に対して、煙の排出、毒性ガスの排出と難燃性のテストを受けています。

アンフェノールの同軸ケーブルについて

アンフェノールは、60年以上にわたり航空宇宙・防衛向けに同軸ケーブルを供給しており、MIL規格および高信頼性同軸ケーブルのトップサプライヤーとして高い評価を頂いています。特に、高性能、高耐久性が要求される航空機および艦船のレーダ、電子戦、衛星などのクリティカルなシステムでは、多くのプログラムでアンフェノールの同軸ケーブルが採用されています。

以下に、アンフェノールの同軸ケーブルが認定されたプログラムをご紹介します。

A-10

AGM-129A (ACM)

AH-IS COBRA

AH-64 APACHE

AIRBUS A300

AIRBUS A319

AIRBUS A320

AIRBUS A321

BAe 146

AWACS

B-52

B-717

BAe 125

BAe 146

BOEING 727

BOEING 737

BOEING 747

BOEING 757

BOEING 767

BOEING 777

BOEING 787

BGM-109

(TLAM & TASM)

C-17

C-130

C-160

CANADAIR

CL-600

CG-47

CESSNA 208

CN 235

CP-140

DD-963

DDG-51

DDG-91

E-2C

EA-6H

EF-111

EH-101

EH-IX

F-14

F-15

F-16

F-18

F-22

F-35

F-111

F-117

GRIPEN

HARRIER

L-159

LAMPS

LOCKHEED L-1011

LYNX

McDONNELL DC-8

McDONNELL DC-9

McDONNELL DC-10

McDONNELL MD-10

McDONNELL MD-11

McDONNELL MD-80

McDONNELL MD-81

McDONNELL MD-82

McDONNELL MD-83

McDONNELL MD-87

McDONNELL MD-88

MH-47

MH-60

MIRAGE 2000-5

NIMROD MR4A

OH-X

OV-10

OV-1D

P-3C

PILATUS PC-12

PPG-7

S-3

SOCATA

TBM-700

SEA KING

SH-60

BLACK HAWK

TA-4

TORNADO

V-22

弊社製品の認証に関する詳細はお気軽にお問合せください。