ハイスピードコンタクトの特長と使い方

どのようなアプリケーションで用いるのか?

近年のPCの性能向上に伴い、PC間或いはPCと周辺機器とのインターフェースも高速信号伝送に対応可能なものに転換されてきています。主なものとしてEthernet,IEEE1394(Fire Wire),Fiber Channel,USB2.0などが挙げられます。比較的長い距離間を高速且つ低ロスで高周波信号を送受信するような場合、機器の接続には通常の銅線ケーブルではなく、高周波特性を高める工夫の施されたケーブル、すなわちツイストケーブル(対より線)や同軸ケーブルを用いるのが一般的です。このようなタイプのケーブルを用いたインターフェースにはそれ専用のコンタクトを内蔵したコネクタを用いる必要があり、コネクタの選定が正しくなければ、信号は正しく伝送されません。

ハイスピードコンタクトの種類

アンフェノールの高速データ伝送用コンタクト、すなわちハイスピードコンタクトは大きく2つに分類されます。すなわちシングルエンデッド伝送(非平衡伝送)用コンタクトとディファレンシャル伝送(平衡伝送または差動伝送)用コンタクトです。Coaxコンタクト,Twinaxコンタクト,Triaxコンタクトは前者、すなわちシングルエンデッド伝送用コンタクトにあたり、Quadraxコンタクト,ディファレンシャルTwinaxコンタクトは後者、すなわちディファレンシャル伝送用コンタクトにあたります。

シングルエンデッド伝送用コンタクト

シングルエンデッド伝送とは、1つの信号を伝送するのに、1本の信号線を駆動する伝送方式で、グラウンドと各信号線の間の電位差でTrueとFalseを表現します。同軸ケーブルを使った伝送はすべてこれに当たります。ディファレンシャル伝送に比べるとノイズによる影響を受けやすい為、シールド被覆構造をとっています。
アンフェノールのCoax,Twinax,Triaxコンタクトはこのような伝送用ケーブルの接続に最適です。またいずれのコンタクトも外部導体を有する構造により、外部からのノイズに対して強い耐性を示します。

(1) Coaxコンタクト

Coaxコンタクトは同軸ケーブル(RGタイプ、その他)に適合するコンタクトです。サイズは#4,#8,#12,#16の4種類で構成され、様々な種類の同軸ケーブルに適合するよう豊富な形状を取り揃えております。またサイズ#12には、反射による信号波形の乱れを防ぐ為に、50ΩでインピーダンスマッチングさせたCoaxコンタクトも取り揃えており、Max3GHzの信号伝送が可能になります。詳細についてはカタログ12-130をご覧下さい。

(2) Twinaxコンタクト

Twinaxコンタクトはツイストケーブルに適合するコンタクトです。ツイストケーブルペアの1本をTwinaxコンタクトの中心導体に、もう1本を中間導体に接続し使用します。サイズは#8,#10,#12の3種類で構成され、様々な種類のツイストケーブルに適合するよう豊富な形状を取り揃えております。Max30MHzの信号伝送まで対応可能です。詳細についてはカタログ12-130をご覧下さい。

(3) Triaxコンタクト

Triaxコンタクトは2重のシールド被覆を持つTriaxケーブルに適合するコンタクトです。サイズは#8,#10,#12の3種類で構成されます。対応周波数はMax30MHz(#12),Max300MHz(#10),Max500MHz(#8)になります。詳細についてはカタログ12-130をご覧下さい。

ディファレンシャル伝送用コンタクト


ディファレンシャル伝送とは、1つの信号に2本の信号線を用い、両者の電位差でTrueとFalseを表現します。よってノイズによる影響が極めて小さくなる為、シングルエンデッド伝送よりも高周波信号の高速伝送(2Gbps)に適し、Ethernet100Base-TやFiber Channel,IEEE1394 などで用いられます。

アンフェノールのQuadrax,ディファレンシャルTwinaxコンタクトはこのような伝送用ケーブルの接続に最適です。ディファレンシャル伝送するツイストケーブルは通常100Ωまたは150Ωでインピーダンスマッチングされているため、それに取り付けるコネクタ(コンタクト)も100Ωまたは150Ωでインピーダンスマッチングされていなければ信号を正確に高速伝送することはできません。アンフェノール Quadraxコンタクト及びディファレンシャルTwinaxコンタクトの内部導体は互いにインピーダンスマッチングが取れている為、3GHzまでの高周波信号の高速伝送に対応できます。

(1) Quadraxコンタクト

Quadraxコンタクトは2対のツイストケーブルに適合するコンタクトです。名の通り4芯の導体が内蔵されたQuadraxコンタクトは、対向する2芯の導体同士をペアとしてツイストケーブルに接続されます。送信用・受信用として各1対のツイストケーブルで、ディファレンシャル信号を伝送する際の接続に用いられます。
サイズは#8の1種ですが、多様なケーブルに対応可能できるよう豊富な形状を用意しております。詳細については弊社までお問合せ下さい。

(2) ディファレンシャルTwinaxコンタクト

ディファレンシャルTwinaxコンタクトは1対のツイストケーブルに適合するコンタクトです。2芯の導体が内蔵されたディファレンシャルTwinaxコンタクトは、ツイストケーブルを用いてディファレンシャル信号を伝送する際の接続に用いられます。
サイズは#8の1種ですが、多様なケーブルに対応可能できるよう豊富な形状を用意しております。詳細については弊社までお問合せ下さい。

どのようなコネクタに使用できるのか?

防衛関連機器や各種製造機器など、空調の整ったオフィスに比べると遥かに劣悪な環境下で高速信号伝送を必要とする場合、また航空機器など軽量化も同時に図る必要のある場合には、通常のLANコネクタにはない耐環境性を有したコネクタに上述したハイスピードコンタクトを組み合わせる方法がベストと言えます。アンフェノールには様々な使用環境に対応できる丸型コネクタ,角型コネクタが豊富に取り揃えられております。それらの多くにハイスピードコンタクトを組み込むことが可能です。また豊富なインサート配列を利用して電源ラインなどの通常の銅線ケーブルとハイスピードケーブルを一つのコネクタにハイブリッド化することにより、コネクタ数を減らすことができ、省スペース化・低コスト化に寄与します。以下に対応可能なシリーズを示しました。インサート配列等、詳細はカタログ12-130、もしくは弊社までお問合せ下さい。

(1) Coaxコンタクト

  • MIL-DTL-38999 シリーズ I,II,III及びAmphe-Lite シリーズ
  • MIL-C-26482 シリーズ I
  • MIL-C-5015 シリーズ
  • MIL-C-22992 シリーズ
  • PC基板搭載用B3角型コネクタ
  • ARINC600コネクタ

(2) Twinaxコンタクト

  • MIL-DTL-38999 シリーズ I,II,III及びAmphe-Lite シリーズ

(3) Triaxコンタクト

  • MIL-DTL-38999 シリーズ I,II,III及びAmphe-Lite シリーズ

(4) Quadraxコンタクト

  • MIL-DTL-38999 シリーズ I,II,III及びAmphe-Lite シリーズ
  • ARINC600コネクタ

(5) ディファレンシャルTwinaxコンタクト

  • MIL-DTL-38999 シリーズ I,II,III及びAmphe-Lite シリーズ

上記コンタクトは圧着によりケ-ブルに接続するタイプですが、基板にコネクタを実装し、コンタクトを基板の配線に直接接続する場合には、PCテールコンタクトが最適です。上記すべてのコンタクトのPCテール仕様を取り揃えております。詳細については、カタログ12-130、もしくは弊社までお問合せ下さい。

グラウンドプレーン仕様

メタル製のインサートを使用したコネクタをグラウンドプレーンコネクタと呼びます。通常インサートはコンタクト間の絶縁を確保する為に、樹脂やゴムのような絶縁材料で作られますが、グラウンドプレーンはメタル製で、通常、上述したハイスピードコンタクトと併せて使用します。ハイスピードコンタクトの外部導体はグラウンドプレーンに電気的に接続され、メタル製のシェルを通じて接地される為、外部からのノイズの影響を低減でき、高周波信号の高速伝送能力を更に向上させることができます。

MIL-DTL-38999 シリーズコネクタで、サイズ#8,#10,#12,#16のハイスピードコンタクトで構成されるインサート配列であれば対応することができます。またノーマルコンタクトとハイブリッドする場合には、通常の樹脂インサートとグラウンドプレーンを組み合わせたカスタム仕様のインサート等のご希望にも応じます。詳しくはカタログPDS-139をご覧下さい。